色々な会社の賃金台帳を見て気づいたこと
こんにちは。
名古屋丸の内の女性社労士、望月麻里です。
算定基礎届の電子申請開始まで、あと少し。
提出期限は7/10までなので、まだ準備していない方はお早めに!
さて、その算定基礎届等の手続きの関係で、
最近色々な会社の賃金台帳を見る機会があります。
正直、色々な会社の賃金台帳を見るのは、独立してから初めてです。
今までは自分が給与計算もしていた会社の手続きしか行ったことが無かったので、
こんな形の賃金台帳もあるんだ!と、新しい発見があります。
その中で、給与計算の関係で気づいたことがあるので、
今日はその点をブログに書いていきたいと思います。
①最低賃金以下の時給になっている
時給計算の方で、最低賃金以下の時給で計算されている方を
ちらほら見ます。
おそらくですが、
・最低賃金が毎年変わることをご存じない
・時給は最低賃金以上で決めているが、従業員マスター情報を変更できていない
以上の理由が考えられます。
給与計算システム内で「最低賃金以下になってますよ!」
と、アナウンスが出ることはありません。
労務は自分で情報を取りに行き、
自分で会社の運営やシステムに反映しなければなりません。
給与計算システムの従業員の賃金が最低賃金以上になっているか、
必ず毎年確認が必要です。
②雇用保険料、源泉所得税が毎月同じ金額になっている
こちら、あるあるです。
特に、Excelや手計算で給与計算をしている会社で
良く見ます。
おそらく、社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料)が
毎月変動が無いことが多いので、雇用保険料や源泉所得税も
毎月同じ金額だと思われているのだと思います。
雇用保険料や源泉所得税は、その月の給与金額に保険料率をかけたり、
源泉所得税の月額表に当てはめて金額を計算するので、
原則毎月金額は変わるはずです。
(※本当に毎月給与金額が変わらないなら、毎月同じ金額もありえます)
ちなみに、社会保険料も毎月絶対に変わらないのではなく、
昇給や手当の変更など、事情によっては金額が変わることがあります。
「雇用保険料をはじめとした控除するものは、毎月金額をコピペしてる」
という方は、一度社会保険労務士に賃金台帳を確認してもらうと
安心です。
③社会保険料の月額変更ができていない
②にも少し書いたのですが、
・昇給したとき
・従業員が引っ越しして通勤手当が変更になったとき
など、給与金額が変更になり、一定の要件に該当した場合、
社会保険料が変更になります。
▼随時改定(月額変更)日本年金機構ホームページ
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-02.html
手続き書類を作成→給与計算システムへ反映という作業が発生します。
こちらの手続きは、役所から「変更になりましたよ、手続きしてくださいね」
と、お知らせが来ることはありません。
自分で気づいて、自分で手続きして、自分で給与計算に反映しなければ
なりません。
そのため、一番手続きとしても漏れることが多く、
年金事務所の調査で指摘され、遡って手続き、社会保険料の納付となることが
多いです。
「従業員の社会保険料、ずっと変更していなかった…」
という方も、一度社会保険労務士へ相談されることを
おススメします。
今回は、賃金台帳を見ていて気付いたことをご紹介しました。
ちなみに、こういったことは一般的なアウトソーシング会社では
教えてくれません。
社労士事務所でも、手続き代行だけであれば
賃金台帳から分かるこういったリスクをお客様へお伝えすることは
ありません。
なぜなら「手続きを代行して完了すること」が仕事だからです。
弊所では私がずっと給与計算を行ってきたこともあり、
いただいた賃金台帳からリスクを発見できた時は
お客様へお伝えするようにしています。
賃金台帳から分かることは、沢山あります。
手続きだけやればいいのではなく、お客様の会社が
気付いたらリスクが大きくなっているということを防ぐためにも、
正直にお伝えしていきます。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。