育休後月額変更の注意点
こんにちは。
名古屋丸の内の女性社労士、望月麻里です。
本日のブログのタイトル、「育休後の月額変更」という手続きがあることをご存知でしょうか。
簡単に言いますと、育休前の社会保険料等級と比べて、育休後の社会保険料の等級が1等級以上差があった場合、
社会保険料を変更することができる手続きです。
通常の社会保険料の月額変更よりもさらにややこしく、判断も難しいです。
先日、私も手続きしていてヒヤッとすることがありました。
今回は、そのヒヤッとも踏まえて注意点を書いていきます。
対象となる人
育休終了をした日に、3歳未満の子を育てている従業員(被保険者)が、
次の①②どちらにも該当した場合、育休後の社会保険月額変更を申し出ることができます。
①育休終了日の翌日が属する月以後3か月間の報酬の平均額で算出した標準報酬月額が、現在の標準報酬月額と比べて1等級以上の差があること
②育休終了日の翌日が属する月以後3か月のうちに支払基礎日数17日以上の月が1月以上あること
※短時間労働者は11日以上
※パートタイマーは3か月全て支払基礎日数が17日未満の場合は、そのうち15日以上17日未満の月が1月以上あること
…難しいですよね。属する月ってなに?と疑問に思いますよね。
以下の例で説明します。
◆育休終了→4/30
◆育休終了日の翌日→5/1
◆5/1が属する月→5月
◆5月以後3か月間の給与の平均額→5月支払い、6月支払い、7月支払いの平均額
このように、考えます。
まずややこしいのが、属する月問題です。
このように、月末の場合、次の日が翌月になるので混乱します。
そして、3か月間の給与とは、その月々に実際に支払われた給与のことです。
締め日と支払日がズレるケースだと、「5月分は6月支払いだから、6月7月8月支払いの平均額?」と思われますが、実際に5月に払われた金額で判断をします。
なので、育休終了日の翌日が属する月の給与は、金額が小さいケースが多いです。
最大注意点:要件②パートタイマーの特例
今回私がヒヤッとし、最も混乱するのは要件②の支払基礎日数の判断です。
通常の社会保険の月額変更は、「支払基礎日数が17日未満の月があるときは月額変更しない(短時間労働者は11日未満)」という判断のみですが、育休後の場合は、働く日数、時間によって判断が変わります。
■正社員、正社員と同じ時間働くフルタイムパートの場合
支払基礎日数が17日未満の月があっても手続きはできますが、平均額を出す時は、支払基礎日数17日未満の月は除きます。
先ほどの、5月支払い、6月支払い、7月支払いで平均額を出すパターンだと、
・5月支払い→支払基礎日数が7日
・6月支払い→支払い基礎日数が20日
・7月支払い→支払い基礎日数が21日
この場合は、5月の支払基礎日数が17日未満なので除きます。
6月支払いと7月支払いの2ヶ月分の平均で、標準報酬月額を決めます。
■パートタイマーの場合
パートタイマーには、3か月全ての月が17日未満の場合は
「15日以上17日未満の月の報酬で計算する」
という特例があります。
・5月支払い→支払基礎日数6日
・6月支払い→支払い基礎日数14日
・7月支払い基礎日数→16日
という例で解説します。
全ての月が17日未満なので、パートタイマー特例を適用します。
すると、「支払基礎日数が15日以上17日未満」の月は、「7月支払いのみ」
になるので、7月支払いの給与金額をもとに、標準報酬月額を決めます。
■短時間労働者
まず短時間労働者とは、以下5つ全てに当てはまる労働者のことです。
①従業員が101人以上(令和6年10月からは51人以上)の会社
②週の所定労働時間が20時間以上
③2ヶ月を超える雇用期間が見込まれる
➃賃金の月額が88,000円以上
⑤学生でない
その場合、支払基礎日数は、「11日未満かどうか」で判断をします。
今回は、育休後月額変更の注意点をご紹介しました。
通常の月額変更もかなりややこしいのですが、さらにその上をいくややこしさがあります…
手続きをする際は、注意しましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。